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- 重症アレルギー性鼻炎の手術
薬では改善しない重症アレルギー性鼻炎に対して
アレルギー性鼻炎に対する治療は、主に抗ヒスタミン薬、鼻噴霧ステロイドから開始しますが、内服、点鼻を続けていても症状がなかなか制御できない、重症のアレルギー性鼻炎に対しては、手術治療という選択肢があります。
粘膜下下鼻甲介骨切除術
長期間の鼻の炎症によって、下鼻甲介という鼻の中で空気の通り道に庇状に突出している部位が過度に肥厚してしまい、強い鼻閉をきたす原因となります。この下鼻甲介の粘膜を切開し、内部の発達しすぎて肥厚した骨を切除し、サイズを適切に調整する手術が「粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型)」という手術です。下鼻甲介自体は鼻の中の空気の流れの方向を変化させるために必要な構造ですので、下鼻甲介自体を完全に切除するのではなく、肥厚しすぎた「中骨」を抜き、適度に薄くするのがポイントです。
通常、後鼻神経切断術や鼻中隔矯正術などと併せて行われます。
手術直後は鼻うがいをしているうちに溶けるタイプの止血剤、もしくは翌日もしくは翌々日に1秒で抜去できる細いスポンジ状の止血剤をいれます。手術から1週間は出血や腫れがありますが、鼻うがいを続けていただくうちに少しずつ腫れがひき、2週間から1か月後には鼻の通りが良くなったことを実感できます。
後鼻神経切断術(経鼻腔翼突管神経切除術)
アレルギー反応により放出されたヒスタミンにより刺激された知覚神経はその情報を脳の分泌中枢へと送ります。そして脳は自律神経を介して鼻腺からの鼻汁の分泌を指示します。下鼻甲介は神経が発達していますので多量の鼻汁が生成されます。こういった炎症反応が慢性的に起こることで下鼻甲介の粘膜は腫れ上がり、鼻の通りを悪くして鼻づまりを引き起こすことにもつながります。後鼻神経切断術では、下鼻甲介に分布する神経(翼突管神経後鼻枝)を鼻腔の深部から鼻の中に入ってきた部位で選択的に切断することにより他の部位への影響を引き起こすことなく下鼻甲介からの過度な鼻汁分泌、くしゃみ、鼻づまりの改善を図ります。
当院での翼突管神経切除術は粘膜下下鼻甲介骨切除術とあわせて行うことが多く、骨が硬く肥厚したタイプにも効果が期待できます。
術後のケアと注意点
手術後、鼻づまりや微量の出血が続きますが、徐々に解消されます。ただし、手術から2週間ほどたった時期に約1%の確率で遅発性術後出血が発生するリスクがあるため、術後1か月間は重要なイベントや旅行を避けるようにお願いしています。