粘膜切開
鼻中隔の骨を覆っている粘膜を切開し、内部の軟骨が見えるようにします。
多くの場合、内視鏡を使用して鼻の穴の中から処置を行います。鼻中隔矯正の手術時間の目安は30分~1時間程度ですが、他の手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術、内視鏡下副鼻腔手術など)を組み合わせて行うことが多く、手術内容によっては手術時間が合計で2時間以上になることもあります。
鼻中隔は痛み止めの局所麻酔を効かせやすい場所であるため、局所麻酔での手術も可能ですが、手術中の痛みや不安への心配が強い場合などは全身麻酔での手術も可能です。
鼻中隔の骨を覆っている粘膜を切開し、内部の軟骨が見えるようにします。
軟骨とその周りの骨(篩骨正中板、鋤骨、上顎骨鼻稜)の一部で片側に突出している箇所を部分的に切除するなどして、鼻の形を形成する枠の部分を温存して鼻中隔の曲がりを調整します。
調整された軟骨の上に粘膜を戻し、最初に切開した箇所を吸収糸(3か月程度で溶ける糸)で縫合します。
止血剤(サージセル®、ナゾポア®、プラスモイスト®など)を鼻の中の切開した場所に留置し、出血をコントロールします。
当クリニックでは、大量のガーゼを鼻内に詰める方法は行いません。出血が多い場合には1秒で抜去できるような形状のスポンジを使用することがあります。
鼻の入り口から曲がっているタイプの鼻中隔弯曲は、従来の内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型の手術方法では矯正することが困難なことがあり、粘膜よりも前方の皮膚と粘膜の境目や皮膚に切開を入れて鼻中隔の矯正を行う方法をとることが増えてきています。2024年6月より、鼻の入り口から曲がっている鼻中隔弯曲に対しては「内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型」、外から見た鼻の形も曲がっている場合には「内視鏡下鼻中隔手術Ⅳ型」という術式が新たに保険適応となりました。従来の内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型よりも難易度が高い術式ですので、手術を行うことができる施設はまだ多くないのが現状ですが、当院では全身麻酔で行うことが可能です。
手術直後の2~3日は手術箇所の粘膜の腫れ、止血剤の影響により強い鼻づまりをきたしますが一過性のものです。術後2日め頃に処置を行い鼻の中の止血剤を一部取り除きます。その後も1~2週間は、粘膜の腫れや一時的な鼻づまりが持続しますが、次第に軽減します。塩を入れたぬるま湯での鼻うがいを頑張りましょう。
手術後数日間は、鼻からの軽度の出血が見られることがありますが、通常、自然に治まってきます。ただ、術後10~14日め頃に手術した箇所の奥の方より出血が突然おこることがありますので、ご注意ください。